こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回はとよだともみさんの作品をご紹介します。
とよださんは現在、多摩美術大学 油絵科の4年生。
2011年11月の多摩美芸術祭で作品を見て、
私は一発でファンになってしまったのです。
まず目を惹いたのがこれ。タイトルは「クリスマスター」です。
この作品の何が気に入ったのかというと、星の顔なんです。頑固そうな鼻筋と唇。その上につぶらな瞳があって、じっとこちらを見つめている。なんだろう。この絵をじっと見ていると、まるでこの星と見つめ合っているような、不思議な気分になります。でもそれが悪くない。
顔の描写が妙にリアルな感じなのに、そのまわりの風景が絵本的というか、現実感が薄いのもいい。光のとらえ方も、柔らかい。油彩でもこういう表現ができるんだなあ。
「クリスマスター」の下には、小さめの6つの作品群が飾られていました。
上段左から、「高所恐怖症の星」「ロマンティック・ムーン」「暑がり太陽」。
下段左から、「イトカワくん」「ぐるぐるギャラクシー」「もっくもく星」です。
これら6作品は絵はがきとしても販売されていました。もちろん購入しましたとも。個人的には「高所恐怖症の星」と「暑がり太陽」が気に入っています。
そして多摩美芸術祭の後に制作されたのが、以下の4作品です。
これは「皆既日食」。夜の駅のホームに月が立っていて、その後ろに太陽が並んでいます。太陽が月に隠れてフレアしか見えないから、皆既日食なんですね。駅名が「ゅう」しか見えませんが、「うちゅう」でしょうか。それとも「府中」なのかな?
お次は「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド」。ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドって何なんでしょう。Wikipediaによれば
宇宙望遠鏡科学研究所が行ったハッブル宇宙望遠鏡による超深宇宙領域の探査である。探査領域はろ座の1度ほどの領域である。微光天体カメラおよび赤外線カメラを用い、2003年9月24日から2004年1月16日にかけて行われた(但し、実観測日数は11.5日)。得られた画像には、1万個以上の誕生後4、5億年の銀河が映し出されており、中には宇宙誕生後、僅か8億年の銀河すら映し出された。また、通常の渦巻銀河や楕円銀河に混じって様々な奇妙な形の銀河が映し出されており、これら、宇宙初期の混沌とした状態の中で、銀河同士が影響しあっていた状態を映しだしていると考えられている。
とのこと。つまりこの絵は銀河の集合体なんですね。中央のちょっと明るい顔と、右下の片目が大きい顔に、目が吸い寄せられます。
これは「太陽系の大きさ」。中央にいるのは、もっくもく星の彼でしょうか。土星の輪っかが後ろに隠れていますが、それもご愛敬ですね。
そして「雨の公園」。これももっくもく星なのかな。顔の回りを漂っている3つの珠は、ガリレオ衛星ですね。
どの作品にも共通しているのは、顔のパワーです。けっこうリアルな陰影。つぶらな瞳。太い鼻っ柱と小さくてぽってりとした唇。妙な存在感です。そして「クリスマスター」と「皆既日食」は、まわりの風景の描き方も、なんだかいい空気を作っています。ずっと眺めていても飽きません。
次回は作者のとよだともみさんのインタビューをお届けします。絵のタッチの秘密も明かされちゃいます。お楽しみに。