こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回はisland MEDIUMで開催中の松下徹さんの個展「Abstracted and Abandoned」を紹介します。
松下さんは2010年に東京藝術大学先端藝術表現学科大学院を修了し、独特な塗料作品を制作しているアーティストです。2012年1月28日にフジテレビで放映された「ARTはアーホ!」に出演されていたので、ご存じの方も多いかもしれません。
彼の作品の最大の特長は、エアブラシで書き込んだような細かいパターンと、塗料のひび割れが融合している点にあります。ギャラリーの方は「まるで焼き物のような」と表現していましたが、偶発的な要素をコントロールしながら、意図的に取り込んでいるのです。そういえば「ARTはアーホ!」では「ひび割れアーティスト」として紹介されていましたね。
それはともかく作品を見ていきましょう。まずはギャラリーに入って左側にある大作。「Double Fractale」です。
なかなか美しいパターンですね。オートバイのタンクにこんな塗装をしたら、とても格好よさそうです。しかし近寄ってみると、単なる美しい塗装ではない。
ひび割れている。みごとにひび割れている。描かれたパターンがこのひび割れと、面白いほどの調和を作っている。
他の作品も観ていきましょう。
どの作品もひび割れの存在感が強い。どうやって作っているのでしょうか。「ARTはアーホ!」での会話を聞くと、その秘密がわかります。ここでその一部を掲載させてもらいます。
「化学変化を起こしてだんだん古くなってひび割れるじゃないですか。それを早く起こしてるんですよね」
どうやってですか?
「これ普通に車を塗ったりする用の塗料なんですけど、早く劣化するように溶剤を変えたりとかして。塗料をかけて放っておくと、こうなるんです」
自然にってことですか?
「そうなんですよ」
じゃあコントロールできないんですね、自分で。
「そうですね。でもだんだん慣れてくるんで」
試行錯誤もあったんじゃあないですか。
「最初失敗してこれができちゃって・・・」
失敗からか。
「そうですね」
(円形作品の制作を実演しながら)
「焼き物の壺を作るような要領ですね。すぐひび割れてきますよ」
この塗料とテーブルの素材の組み合わせでってことですか?
「下地の部分が塗っている塗料と反応する塗料なんです」
なんかかっこよすぎるな。このテーブル、売れるでしょうね。
「壁にかけて欲しいですけどね」
なるほど、そういうことですか。ちなみに番組の中で制作していた「テーブル」は、さらに手が加えられた状態で展示されていました。
うん、かっこいいっすね。
私が行ったときには下の写真のようなカードケースも販売されていました。売れ行きはなかなか好調とのこと。もう売り切れちゃったかな。買っておけばよかったな。
松下徹さんの個展「Abstracted and Abandoned」、5月27日(日)までやっています。ぜひ。