こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
昨日は上野、今日は銀座と、多摩美卒展を続けて見に行きました。その中から今回は、銀座の「ぎゃらりぃ朋」で展示されている角川悠香さんの作品を紹介します。(右写真はそのフライヤです。クリックすると拡大します。)
角川(つのがわ)さんは今年、多摩美術大学 大学院 修士課程 美術研究科 絵画専攻 日本画研究領域(な・・・長い!)を修了予定で、その記念として個展を開催しています。岩絵具を使った色遣いが、なかなか美しいんですよ。
「7番から9番くらいの岩絵具を使っているのですが、粒子の粗さがある程度あるため、光を反射するんです」とのこと。岩絵具の番号は粒子の細かさ(粗さ)を示していて、番号が大きいほど粒子が細かくなるそうです。試しにググッてみると、7~9番というのは粒子の直径がだいたい50ミクロンみたいですね。ちなみに上白糖の直径が100ミクロン前後、小麦粉が数十~150ミクロンくらいだそうです。
次は「夜を纏う」という作品。
遠くから見ると滑らかに描かれているように見えますが、近寄っていくと、これは岩絵具独特のマテリアル感なのでしょうか、ざらりとした感触が伝わってきます。
構図としては、抽象的な風景の中に、人がひとり佇んでいる、といったものが多いようです。作品ファイルの冒頭の言葉には「作品を通して宇宙の中の私という存在を掴むこと、現在の私のテーマはここにある」とあります。作品の中に登場する人物は、作者自身の投影、もしくは代弁者なのか。あるいは作者自身の中に複数の自分がいて、それが作中に現れているのでしょうか。
その一方で、人物がまったく登場しない作品もあります。例えばこれ。「どこへ、どこかへ」という作品です。
それからこれは、「どれでもなく、しかし全て」という作品です。
こちらはオレンジを基調とした、まるで絵の中で渦を巻いているかのような、ダイナミックな配色です。私自身は角川さんの一連の作品の中で、これにいちばん惹かれました。
右は「輝くための夢を見る」という作品です。クリックすると拡大します。
全体的な印象は、人物を繊細なタッチで美しく描いている点と、ざらりとしながらも透明感を感じさせる岩絵具の色が、特徴的だなあと感じました。完成度も高いし、すぐにファンがつきそうな気がします。取材中もコレクターの人が来て、1枚売れていきました。
この展示は2月11日(土)までやっています。場所はこちら。最寄り駅は銀座一丁目ですが、銀座や有楽町から並木通りをぶらぶら歩いて行くのも悪くないと思います。他にも作品が展示されていますので、都合があえば是非。
それから2月23日(木)から国立新美術館で行われる「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」でも、高さ260cmの大作を出展するそうです。こちらも楽しみです。