こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
なんだか急に寒くなりましたね。
今朝は上野でも雪がぱらついたそうです。
そんな中、また3331にやってきました。
おめあては地下1階 Bambinart Gallery で開催されている
「吉澤 知美展」です。
2010年に同大学院の絵画専攻を修了されています。
実はBambinart Galleryの「吉澤 知美展」に足を運んだのは
今回で3回目だったりするのですが
これがけっこう私のツボにはまる作品ばかりなのです。
まずギャラリー内で最も目を惹いたのが
この「flower circle」という作品です。
東日本大震災の直後くらいに制作したとのこと。
私は最初、日本画の人が書いたのかな、と思ったのですが
これだけ繊細な絵を、油彩で描いているのです。
一見喪服のようにも見えなくはない
黒いワンピースを着た女の子のまわりに
朝顔のような花が浮かんでいます。
女の子はほほえんでいるようにも見えるし
泣きだすのをこらえているようにも見える。
なんとも複雑な表情です。
展覧会の告知コピーを読むと
対であったはずの「喜び」も「悲しみ」も 絵画の中では溶け合ったひとつのものとして描かれています。
という記述がある。
まさにこのコピー通りの絵だといえるでしょう。
でも私がこの作品でもっとも印象に残っているのは
実は「毛の表現」だったりします。
全体のボリューム感を表現している一方で
よく見ると1本1本細かく書き込まれている。
例えば女の子の左手の部分を拡大すると
こんな感じになっています。
距離をとって眺めてから、近づいて細部を追いかけ
再び距離をおいて全体を把握する。
これを繰り返すのが、なんとも楽しい。
次にいいなあと思ったのは 「conceal」という作品。
concealとは“隠す”といった意味でしょうか。
毛皮のようなものを頭からかぶった女の子の表情。
たしかに笑っていますが、
いわく言い難いものを含んでいるような、
複雑な笑顔です。
当然この作品も、毛皮の描写に注目。
全体としてはつややかな流れるような毛が
近くづいてみると、1本1本の硬さを感じさせます。
それから「inconsistent」も面白い。
洗濯紐に結びつけられた、洗濯物と女の子のお下げ髪。
どういうシチュエーションかはわかりませんが
「なんだろう?」と思わせる構図です。
せっかくなのでこれも、拡大写真を。
そして「want to be like her」。
女の子が抱えているのはミニウサギでしょうか。
ウサギの毛の質感もいいですねえ。
「彼女みたいになりたい」というタイトルですが
確かに気持ちよさそうだ。
目をつぶって、眠ってしまったのでしょうか。
ちなみに私はアレルギー持ちなので
こんなことをしたらくしゃみが止まらなくなりますが。
いやあ、どの作品を眺めていても
なんだか気持ちが柔らかくなっていく気がします。
写真だけではなかなか魅力を伝え切れません。
展示作品は他にもありますので
興味のある方はぜひ実物をごらんください。
開催期間は2011年12月11日まで。
この週末がラストチャンスです。
3331には他にもギャラリーもありますし
いまなら「ポコラート」という公募展もやっているので
足を運ぶ価値はあると思いますよ。
ちょっとだけ裏話
実は私、撮影のためにカメラを持参していったのですが
電池を充電器に入れっぱなしにして
カメラに電池が入っていないという
大失態を演じてしまいました(笑)。
その時ギャラリーディレクターの米山さんが
「RICOHなら同じ電池があるかもしれません」と
バックヤードから電池を持ってきてくださったのです。
これがばっちり同じ型の電池!
これをお借りして無事撮影できました。
米山さん、ありがとうございました!