こんにちは・オプショナルアーツの山川です。
前回に引き続き「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」から、気になった作品をご紹介します。
今回ご紹介するのは、多摩美術大学 絵画学科 油絵専攻の寺井絢香さんの作品です。
寺井さんは、以前このサイトで紹介したとよだともみさんの同級生で、インタビューの時にも「同じグループの子でずっとマッチ棒を描いている子がいるんですけど」と、話題に上った方です。実は私も昨年秋の多摩美芸術祭で「この作品は面白いなあ」と思っていました。ちなみに下の写真は、芸術祭の時の作品の一部です。(いちばん上の作品のタイトルは「わっと花」だったと思うのですが、残りの作品タイトルは、残念ながら手元に記録がありません)
画面を構成する要素の一つひとつは確かに「マッチ棒」なのですが、全体を見るとマッチ棒という印象は薄れてしまいます。ある時は花びらのように、ある時はおしべやめしべのように、そしてある時には葉っぱやオリーブの実のように感じられます。人工物であるはずのマッチ棒というモチーフが、まるで生命を与えられたように、自由奔放な形で描かれている。実に不思議な感触です。
そして卒展の作品は、さらにパワーアップしていました。タイトルは「フィナーレ」。オペラ劇場のような空間で、派手なメイクをしたマッチ棒たちが、縦横無尽に動き回っています。
はじけてる。むちゃくちゃはじけてる。「やってくれたなあ!」と、おもわずつぶやいてしまうほど、解放感に満ちている。ダイナミックな動きを感じる。マッチ棒たちの歓声も聞こえてきそうだ。
見ていてスカッとします。
なぜマッチ棒なのかなんて、詮索するのは無粋というもの。そんなことはどうでもいい。それらにこれだけの生命力を与えているというのがポイントです。実にエネルギッシュです。素晴らしい。
サイズも大きい。幅3.6メートル、高さ2.4メートルの大作です。ぜひ実物を見て、そのエネルギーを感じてほしいと思います。
「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」は国立新美術館で3月4日(日)まで開催しています。まだの方はお急ぎあれ。