こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
昨日、彩鳳堂画廊で開催されている「小谷里奈個展―quiet view」を観てきました。
小谷さんは今年、多摩美術大学大学院を修了する予定になっており、この個展も修了展示として開催されています。専門は日本画です。
展示会案内の文言にもあるように、作品群の第一印象は“藹然”という言葉がぴったり当てはまります。藹然(あいぜん)とは、霞がたなびいているような、穏やかで柔らかいイメージのことです。右の絵はそのタイトルもずばり「藹然」ですが、柔らかい色調、あわあわとした形のとらえ方が印象的です。(クリックすると拡大します)
しかし絵に近づいていくと、印象が少しずつ変わっていきます。遠くから観ると、ふわっとした、まるで強い風が吹いたらかき消されてしまいそうな、はかなげな印象ですが、それが近くに寄ってみると、ソリッドな印象が強くなるのです。
このソリッド感は、独特の描き方が生み出しています。直径数ミリ程度の岩絵具の粒が集まって、絵を形作っているのです。ギャラリーの方によると、小谷さんはこれらを一つひとつ丁寧に和紙に載せていって、絵を描いているのだそうです。展示されていた作品群の中で最も大きなものは、制作に半年かかっていると説明します。
上の作品は「環」というタイトルですが、中央やや下側の一部を拡大すると、下のようになります。
立体感のある、数多くの白い粒。思わず指先で触れて、その感触を確かめたくなる衝動が起こります。もちろんその衝動は抑えましたとも。でもこのような衝動を起こさせる質感、生理的な印象というものが、この作品の面白さの一端なのではないかという気がします。
「藹然」はM120、「環」はS80と、比較的大きめの作品なのですが、ひょっとすると小品の方が、この印象をより楽しめるかもしれません。
例えばこれは「day break」というM6サイズの作品。
そしてこれはさらに小さい、S0サイズの「花かんむり #2」という作品です。
やはり目で観る以上に、肌で感じるべき作品ではないかと思えてなりません。もちろん触りませんでしたけどね。くどいようですけど。
ここでご紹介したのはごく一部に過ぎません。「小谷里奈個展―quiet view」、2月26日(日)まで開催されています。