今回は人形町のSPACE/ANNEXで行われている「宮崎麻奈展~まなざし」をご紹介します。
宮崎麻奈さんは多摩美術大学大学院修士課程の工芸専攻を今年修了する予定になっており、この展示は修了制作展という位置付けです。人の「表情」をテーマとした陶(焼き物ですね)による制作を続けていて、実は多摩美の芸術祭でもちょっと気になっていたアーティストです。多摩美芸術祭では下の写真のように、グレーを基調とした空間の中に、白い陶で制作された「狭間の住人」という作品が展示されていました。
それに対して今回は、白い空間での展示です。
宮崎さんの作品のみどころは、やはり顔の表情にあります。まるで小さな子供のようなパーツの配置、そして眠たそうな、あるいは目を見開いている表情。しかしその表情には感情というべきものが感じられない。いわば「うつろな表情」なのです。
「何を考えているかわからないんだけど、見る人を惹き付けるというか、魅力を感じさせる表情を作りたいと思っています」というのは、制作者である宮崎さん。なるほど。確かについ見入ってしまいます。
これは「陰と陽」という作品。手前側が陽で、向こう側が陰なのでしょうか。
そしてこれは「現れるものたち」です。
せっかくなのでこれら2作品も、顔の部分だけクローズアップしてみましょう。
どの顔も、なんだかグッと、こちらに入ってくるというか、迫ってくる感じがする。でも何を考えているかはわからない。表情というモノが、その中身と切り離されて、独立して存在しているようだ。彼らの中はおそらく空洞で、実体はない。だからこそ余計に迫ってくるのでしょう。
さま~ずの三村さんなら「こえーよ、夢に出てきそうだよ」というかもしれない。
とにかくなかなかのインパクトです。
「宮崎麻奈展~まなざし」、2012年2月17日(金)16時までやっています。ぜひ。