こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回は3331内の Gallery Jin Esprit+ で開催されている 早川純子さんの個展「ゴロリ夜明けのバン」の中から、いくつかの作品をご紹介します。
早川さんの1994年に多摩美術大学油絵科を卒業、1997年に同大学院の版画専攻を修了され、版画作品や絵本を数多く手がけています。今回の展示では木版画やモノタイプ、絵本などが展示されているのですが、モノタイプの作品に気持ちが強く惹かれてしまいました。
これはモノタイプならではなのでしょうか。描線のタッチが、なんだかとても心地いいのです。
続きを読む "タッチが心地いいモノタイプ作品群~早川純子さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回ご紹介するのは、3331/island MEDIUMで個展「はだかちゃん」開催中のはまぐちさくらこさんです。
はまぐちさんは1981年京都生まれ、2001年に京都嵯峨美術短期大学を卒業しています。2002年に「GEISAI 2」で奈良美智 個人賞を受賞したのを皮切りに複数の受賞歴があり、これまでに数多くの個展やグループ展を行っています。
続きを読む "爆発する作品たちの小宇宙~はまぐちさくらこさん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回はバンビナートギャラリーで開催されている菊浦友紀さんの個展、“fragments”をご紹介します。
菊浦さんは2005年に東京藝術大学へ入学し、2010年に中国・北京の中央美術学院に留学、2012年3月に東京藝術大学大学院を修了しています。個展の開催は今回が初めてだそうです。

続きを読む "対象から切り離されたイメージの断片たち~菊浦友紀さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回は GALLERY MoMo 両国 で開催されている、室井公美子展「Opposite bank」の作品をいくつかご紹介します。室井さんは1975年に生まれ、2007年に東京造形大学を卒業、2009年に同大学大学院造形研究科美術研究領域を終了された方です。今回の個展では合計30点の油彩作品が展示されています。畳2畳分くらいの大作から、15×20cmくらいの小品まであったのですが、個人的には小品に心を惹かれました。
とりあえず、いくつかの作品を見ていただきましょう。私が「これはいいな」と思ったものを中心に。
続きを読む "視覚を超えて世界を見る~室井公美子さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回はTALION GALLERYで開催中の「オテル・アパラチア|Hotel Appalachia」から、COBRAさんの作品を紹介したいと思います。COBRAさんは1981年生まれの若手アーティスト。今回出展しているのは「THE ANAL STAGE 1/宇宙と大統領とドーナツ」というビデオ作品の、メイキング映像と、作品で登場した道具類です。
ギャラリーに入るとすぐに、COBRAさんの世界が広がります。入り口左側にはなんだかよくわからないオブジェ。実はこれ、ビデオ作品の中で地球に襲来する流星なんです。この手作り感、いいなあ。
続きを読む "最低で最高の一人遊び~COBRAさん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回はisland MEDIUMで開催中の松下徹さんの個展「Abstracted and Abandoned」を紹介します。
松下さんは2010年に東京藝術大学先端藝術表現学科大学院を修了し、独特な塗料作品を制作しているアーティストです。2012年1月28日にフジテレビで放映された「ARTはアーホ!」に出演されていたので、ご存じの方も多いかもしれません。
彼の作品の最大の特長は、エアブラシで書き込んだような細かいパターンと、塗料のひび割れが融合している点にあります。ギャラリーの方は「まるで焼き物のような」と表現していましたが、偶発的な要素をコントロールしながら、意図的に取り込んでいるのです。そういえば「ARTはアーホ!」では「ひび割れアーティスト」として紹介されていましたね。
続きを読む "化学変化でパターンを生み出すひび割れアーティスト~松下徹さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回はGALLERY MoMo 両国で行われている「TETTA展 incloud」をご紹介します。
TETTAさんは2007年に多摩美術大学油画専攻を卒業、2009年に同大学院油画領域を修了し、仏像をテーマにした作品を制作し続けている作家さんです。油彩による平面作品だけではなく、デジタル合成写真や、観音様に扮したパフォーマンスなど、多岐にわたる活動を展開。2010年からは「皆で仏になろう!」を合い言葉に、1000人の参加者に仏像の扮装をしてもらう「三十三間堂プロジェクト」という、ユニークなプロジェクトも行っています。
今回の展示のテーマは「自仏画」。平等院鳳凰堂の雲中供養菩薩像をモチーフに、現代風の服を着てポーズを取る合計14人の女性の全身像が、木目も露わなパネルの上に油彩と墨で描かれています。

続きを読む "画面に溢れる仏像愛~TETTAさん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回は東神田のgallery αMで開催されている『絵画、それを愛と呼ぶことにしよう』vol.1、山田七菜子展を取り上げます。山田さんは1978年生まれの作家さんだということなのですが、その作品が広いギャラリー空間に、ところ狭しと展示されていました。その中から私が気になった作品をいくつかピックアップしてみます。
まあ理屈は置いておいて、作品をご覧あれ。
続きを読む "ガツンとくる色彩とストローク~山田七菜子さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回は、現在TALION GALLERYで開催中の石川卓磨+宮下さゆり「似て非なるもの|Similarity and Unsimilarity」から、宮下さゆりさんの作品をご紹介します。
宮下さんは2011年に武蔵野美術大学油絵学科を卒業し、現在は同大学院の油絵コースに在籍しています。しかし展示されている作品群は油絵ではありません。まずはひとつ見ていただきましょう。
続きを読む "光と影で描かれる境界領域~宮下さゆりさん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回は3331のnap galleryで開催している、真部知胤・野沢裕 二人展「できるだけ/遠くをみろ」の中から、真部知胤さんの作品を紹介します。
真部さんは2009年に多摩美術大学大学院を修了し、これまでもギャラリーでの個展や自分自身のアトリエでの作品発表を行っています。今回の二人展は結城加代子さんの企画によって実現されたものであり、二人展の連続シリーズ「SLASH」の7回目だということです。
真部さんの作風を言葉で表現すると、「ひたすら」とか「こつこつ」とか「執拗に」といった形容詞が、ぴったりくるような気がします。
続きを読む "身近な素材で作られた彫刻作品~真部知胤さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
大小島真木さん個展『獣たちの声は精霊の声となり、カヌムンは雨を降らし、人々は土地を耕した。』の続きです。
3.文明の遺産/パラレルワールド
前回は人と自然が一体となった原初的な世界から始まり、文明の出現へと展開してきました。この2つのステップは、いわば時系列的な関係にあります。次のステップでは、時系列とは異なる視点から、文明を眺めることになります。いわばパラレルワールド的な「可能性を見る視点」です。
続きを読む "自然と生命と精霊と文明の物語~大小島真木さん(2)" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回は4月7日から29日まで開催されている、大小島真木さん個展『獣たちの声は精霊の声となり、カヌムンは雨を降らし、人々は土地を耕した。』を紹介します。
大小島さんは2011年に女子美術大学大学院を修了。個展やグループ展で作品を発表する他、自ら制作した絵本の読み聞かせをさまざまな場所で行うなど、かなり精力的な活動をしているアーティストです。民話や民俗学、風土信仰などに興味を持ち、それらの物語を“編み込んだ”作品を数多く制作しています。
続きを読む "自然と生命と精霊と文明の物語~大小島真木さん(1)" »
こんにちは、オプショナルアーツの山川です。
今回は、3331/バンビナートギャラリーで開催中の和田百合子さん個展「ちょっと ほっと ひょっと」をご紹介します。
和田さんは東京藝術大学在学中の2010年に「TURNER AWARD 2010」大賞を受賞。2012年3月に東京藝術大学大学院油画第7研究室を修了しています。この展覧会の後はドイツへの留学が決まっています。レセプションでは「とりあえずオカネが続く間はドイツにいます」と言っていました。
今回の展覧会で私が面白いと思ったのは、“視覚に対する挑戦”とでもいうべき姿勢が感じられたことです。
今回の展覧会について和田さんは、展覧会告知で次のようにコメントしています。「絵は説明がつくものであってはいけないと思います。(中略)今回は自分の中から湧き上がってくるイメージや色と形を正直にそのまま表現することに力をいれました」。しかし展示されている絵をひととおり眺めてみると、それほど単純でイノセントなものではない。共通する“戦略”のようなものが浮かび上がってくる。
それではその“戦略”とは何か。2点あるような気がします。
続きを読む "惑わされる彼我の感覚~和田百合子さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
あともうひとつだけ、多摩美卒展から。今回紹介するのは、大学院工芸学科金属専攻を修了された内田望さん。私の高校時代の同級生で、今は東大の先生をしているN氏が、「これはすごい」と絶賛していた作品です。
内田さんは卒展の前に銀座で個展も開催していて、私もそれを見に行っていたのですが、ここで紹介するかどうか悩んでいるうちに個展が終わってしまって、ちょっと残念な思いをしていました。もう1回見に来ようと思っていたため、作品の撮影をしていなかったんです。その後、谷根千の複数のギャラリーで開催された「メタルアーツストリート」に出展していた「whale ship」を見て、やっぱり面白いなあと。そして卒展にも同じ作品が出ていて、やはり惹き付けられるものがあったので、ここで紹介しようと思いました。
下の写真がその「whale ship」です。まるでツェッペリン号(飛行船)と潜水艦を合体させた、宮崎アニメにでも登場しそうな造形です。
続きを読む "金属で表現された柔らかいマテリアル~内田望さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
引き続き多摩美卒展から。今回は油絵専攻の木島博人さんです。
まずは下の作品から。タイトルは「制作」です。

(クリックすると拡大します)
続きを読む "徹底したリアリティの快感~木島博人さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回も多摩美卒展から。ファインアート系ではなく、グラフィックデザインの作品を紹介します。尾崎友則さんの「2020年 東京オリンピックポスター」です。

続きを読む "まだ見ぬ競技の残像ポスター~尾崎友則さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
またまた、卒展で見た作品から、いくつか紹介したいと思います。今回紹介するのは多摩美術大学大学院 油絵専攻を修了された田川春菜さんです。
まずはこれ。タイトルは「加速度」です。

(クリックすると拡大します)
続きを読む "デフォルメされた瑞々しい少女~田川春菜さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回は前回の続き、加茂昴さん個展紹介です。
作品の核心が「バグ」だというところで前回は終わったのですが、今回はまず加茂さんの以前の作品をちょっとだけ見ておきたいと思います。過去作品の写真をさらに撮影したので、ちょっと反射して見にくい部分もありますが、お許しを。
続きを読む "世界の中にバグを見る~加茂昴さん(その2)" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
今回は3月25日(日)まで開催されている、加茂昂さんの個展「【絵画】と【生き延びる】」を紹介します。
私はこの個展会場に足を踏み入れて、壁に並べられた絵を眺めた瞬間、高揚感で心臓がどきどきしました。壁に掛けられたキャンバスの一群が、私に向かって何かを放射してくるのを感じたのです。
単なる絵画の集合ではなく、ひとつの世界が提示されている。そう思いました。
その世界の軸となるテーマは、3.11です。そしてこれに対して作家自身がどのように考えたのかは、告知ページの作家ステイトメントを見ていただくのがいいと思います。
さて。
続きを読む "世界の中にバグを見る~加茂昴さん" »
こんにちは。オプショナルアーツの山川です。
3月3日に、青山スパイラルガーデンでやっていた多摩美の工芸学科卒業制作展2012「素」を見に行ったのですが、今回はその中からひとつご紹介します。スパイラルガーデンの展示は撮影禁止だったのですが、受付の担当者にお願いして、特別に許可をいただきました。イキな計らいをしていただき、ありがとうございます。
でもこの作品は、頼み込んで撮影して、ご紹介するだけの価値があると思ったんです。作家さんの名前は杉浦亜紀さん。展示全体のタイトルは「海から宇宙へ」。真鍮とガラスを使った3つの立体作品です。
続きを読む "真鍮とガラスが作り出すファンタジー~杉浦亜紀さん" »